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沿革

能登半島地震発生により支援部隊を編成し救護活動に参加

2008年3月26日〜4月29日

能登半島地震において本学が果たした役割

能登半島地震発生により支援部隊を編成し救護活動に参加

 この度の能登半島地震は、石川県では経験のない大きな被災体験であった。本学でもいち早く学生達の安否の確認をとの木村学長の指示で、能登地区に在住している学生およびその家族の方々の安否確認を開始した。大学に駆けつけることのできた3人の教員が手分けして電話をかけ続けた。家屋が損壊した学生もいたが、無事を確認し安堵したのが午後6時過ぎ、地震発生より8時間半が経ていた。迅速な連絡網の確立が必要であると痛感した。

 被災状況が報道されるに従って全国の看護系大学や看護職者からも当大学へ支援の申し出が相次いだ。それらの声に押され、勇気を得て看護の専門職として被災地の支援の準備を始めた。翌日には県からの要請があり、2〜3人1チームの本学の教職員や大学院生が門前地区の高齢者世帯などの家庭訪問および避難所に「健康管理チーム」として順次駐留することになった。派遣された人数は実質32人、延べ76人にのぼった。さらには、学生の中にも一般ボランティアとして支援に加わった者もいた。

 災害時に看護職を育成する大学としてその専門性を活かせるよう、日頃から緊急時の支援体制づくりのシミュレーションと迅速な備品・物資の準備の必要性を学ばされた。また、ボランティアに出向く教職員や大学院生、学生の安全確保の保健や資金調達が課題である。

 派遣先の被災地では地区保健師が細やかに地域住民を把握して、健康管理チーム等の調整を図りながら支援にあたっていた。避難所では高齢者や子ども、障害者、妊産婦など災害弱者が不便な生活を強いられる。被災者は、ストレスフルな状況下で高血圧、不眠、肩凝り、頭痛、腰痛などの身体愁訴が多くみられた。これからの生活に先行きの見えない不安を口にされた方もいらした。こうしたからだやこころの不調に、看護学が蓄積してきたケアを適用できる瞬時の判断力が求められると感じた。

 また、地域の保健師の不眠不休の活動を見ると、被災地の保健師は疲労していることも忘れて活動を続けている。第一線で働く専門職の後方支援のあり方も課題であると感じた。

 こうした本学の支援の体験から、災害時にこそ地域の住民のパワーをひきだそうとする視点と、保健・医療・福祉・行政の専門職と連携できる実践力が問われる。本学が果たしたことは全体の中のごく一部ではあったが、災害時にも住民を支えることのできる看護職を育成しなければと本学の役割を改めて確認した貴重な経験であった。

本学の被災地での活動のまとめ

石川県立看護大学の医療ボランティア派遣状況

前半 2008年3月26日(月)〜4月2日(月)
3人(運転担当含む)1チームを2チームずつ2泊3日ないし1泊2日
16人の看護職(教授・助手、大学院修了生)、運転等担当の教員1名、事務職6名
後半 2008年4月25日(水)〜29日(日)
延べ9人の看護職(教授・助手、大学院生)、必要時運転担当者が出る

前半派遣者の活動状況

第1班:発災翌日(2日)〜2泊3日
  • 日中は門前地内の在宅生活者の家庭を訪問し、健康状態確認など実施。
  • 夜間は話を聞いたり、避難所生活の方の健康状態の確認やケアを行ったりする。
  • 諸岡公民館と松風台保育園を拠点とする。
第2班:4日〜6日目 2泊3日
  • 諸岡公民館に駐在してほしいとの要望で、24時間交代での支援となる。
  • 高血圧、不眠、認知症高齢者への対応などに追われる。
第3班:6日〜8日目 2泊3日
  • 諸岡公民館に24時間体制で駐在する。
  • 血圧管理、感染症の発生が気がかりとなってきた。避難所ではエコノミークラス症候群予防のための診察や検査、運動、脱水防止などの援助が行われている。諸岡公民館は富山県看護協会から派遣された看護師に引き継ぐ。
第4班:8日〜9日目 1泊2日
  • 門前西小学校に派遣され、金沢市の保健師と行動をする。
  • 感染症胃腸炎患者が見られ、感染症対策の実施。嘔吐や下痢への対応。
  • 環境整備や手洗い等の実施に向けて啓発。

後半派遣者の活動状況

  • 阿岸公民館にて、1日の活動の流れと全体的な業務内容を把握し、公民館にいる有症状者・血圧チェックが必要な方などの個別の状況について確認、援助の実施。
  • 日中は、阿岸公民館から地域の家庭訪問を行い、安否や健康状況に関する確認を行う。
  • 避難所を閉鎖して仮説住宅へ移動する時期。

年報第8巻より

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