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令和4年度入学式式辞(2022年4月5日)

 本日、石川県立看護大学に入学された84名の皆さん、石川県立看護大学看護学研究科博士前期課程・後期課程に入学された10名の皆さん、ご入学、誠におめでとうございます。今日まで皆さんを支えてこられたご家族や関係者の皆さまにも心からお祝いを申し上げます。また、ご多用のところお越しいただきました馳浩石川県知事、油野和一郎かほく市長、そして石川県公立大学法人谷本正憲理事長、ご臨席を賜り厚く御礼申し上げます。

 私は入学生の皆さんと同様、今年度から学長として着任いたしました。皆さんと一緒に本学での活動をスタートできることに、今、大きな喜びを感じているところです。といいますのも、わたくし自身は石川県の出身です。しかし、3月末までの約18年間は東京で仕事をしてきました。多くの皆さんの年齢と同じ期間です。18年間のブランクは大きく、わたくしも一から石川県の医療、福祉状況を学び、どのように看護学に貢献できるか、不安がありますが、石川県が少子高齢社会の日本だけでなく世界に向けての看護のモデルとなるような大学になるよう努力するつもりです。

 さて、明日から始まる大学での学びについて二つお話ししたいと思います。
 まず一つ目は、大学教育では既に分かっている知識や技術を伝承することよりも、まだ分からないことを探求する力を身に着けることを重要視するということです。なぜなら、それが皆さんの時代やその先にある未来を、皆さん自身で創り出す原動力になるからです。

 ただ、それは簡単なことではありません。今、科学技術の世界は激変のときです。たとえば、人工知能やロボティクスなどの活用なども盛んにおこなわれています。それは保健、医療、福祉の分野でも例外ではありません。このような大変革の時代の中で、皆さんが未来に向けて自分の途を切り拓いていくには何が重要だと思いますか?

 私は、今ある知識と技術を壊す勇気,そしてそれを超えるものを創る力だと思います。
 今日の皆さんのように,気持ちが純粋で、心が柔軟で、体力に溢れるときに、教えられることだけで型にはまることのないように、むしろ型破りに自らこの大学で楽しく学ぶことをスタートさせてください。

 もう一つは、看護学の専門家としての知識や技術を身に着けることも然ることながら、人として大きく成長することを目指しましょう。そもそも保健・医療・福祉をとりまく社会にも、そして世界にも多種多様な考え方や政治的・経済的な背景があります。

 特に今、世界に蔓延する対立や争いを目の当たりにして、皆さんはどのように感じているでしょうか?憤りを超えて、「自分たちの時代にはこんな愚かしいことは世界から一掃しよう」と考えているのではないでしょうか?
 皆さんが選択した看護学の究極の目的は、人々が幸せに命を全うするための科学的支援です。その対極にあるロシアのウクライナへの攻撃のような自然や人を破壊するような所業に対して、皆さんなら真向から解決に立ち向かうことができるかもしれません。

 今、この少子高齢社会で看護学を学ぶ皆さんは何をさておいても人の命をそして人を大切にすることを忘れないでほしいと思います。この大学の素晴らしいところは教職員の全てが個々の学生を非常に大切にすることです。何かあったらぜひ相談してほしいと思います。

 看護とは、生きる力を看る、そして、最期まで護ることです。看るというのは看護の看、護は看護の護と書きます。
 この広々とした穏やかな「かほく」の環境で、知的な包容力をたっぷりと身に着けて下さい。そのための支援に、私たち教職員は全力を尽くします。皆さんのこれからの大躍進を祈って式辞とします。

令和4年4月5日         

石川県立看護大学 学長 真田弘美

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