学生生活
令和3年度夏期オンライン・アメリカ看護研修を実施しました
2021年10月26日 up
2021年8月30日(月)~9月4日(土)の6日間、アメリカ看護研修をオンラインで実施し、学生4名(4年生2名、2年生2名)が参加しました。
研修内容
1. 講義
ワシントン大学看護学部准教授の上月頼子先生、Children’s Hospitalの日本人看護師Yoko Hansen先生から講義を受けました。アメリカの医療問題や医療介護保険制度、また看護師としての勤務の実際について、現地で活躍している両先生から詳しくお聞きし、これらの問題について理解を深めることができました。
2. 保健医療・福祉施設のバーチャル見学
各施設内の様子をオンラインで見学するとともに、各施設の担当者から解説を受け、看護教育や医療提供の実際、看護と介護の連携について学びを深めることができました。
① Simulation Center, University of Washington
② Harbourview Medical Center
③ Nikkei Manor
3. 現地学生との交流
ワシントン大学に学ぶ学生からシアトル市内およびキャンパス内施設の紹介を受け、看護学生からは現地でとくに重視されている学習内容についてお聞きし、現地の学生生活の様子が窺えました。
4. 英会話クラス
医療・看護に関する語彙や、アメリカの食文化に関連する表現を、実践的な会話とゲームを通して学びました。参加学生は研修プログラム最終日に、英会話クラスでの学習内容を生かしながら、プログラムを通して学んだことについて英語で発表を行いました。
活動報告
アメリカ看護現場の生の声を聴き、日本の状況についても考える貴重な機会に
担当教員:講師 工藤 義信、助教 後藤 亜希
6日間の、オンラインという条件の下での研修でしたが、その中でも参加学生は、画面の向こうに実際にある演習用の施設、病院、介護施設について多くのことを学び取り、アメリカの医療保険制度の問題から、アメリカで看護師として働くことに至るまで、看護と健康にまつわる様々なレベルの問題について考えを深めることができました。またそれは翻って、日本における看護と医療の長所と問題点、日本とアメリカの健康をめぐる問題の類似点と相違点について考える良い契機となっていました。オンラインで学ぶことによって、ますます将来現地に実際に行きたくなった、という声も上がりました。コロナ禍の代替手段として始められましたが、オンライン研修はひとつの学びの形態として大きな可能性を持っていると実感しました。
アメリカ看護研修における学びと今後の課題
4年 吉田 友香
今回の目標の一つとしていた「アメリカと日本の医療保険制度・看護制度の相違点を理解し、それぞれの国の良さと今後の課題を学ぶこと」は達成できた。アメリカと日本の医療保険制度は対照的であることを知り、安心していつでも誰もが公平に医療を受けられる日本の環境は当たり前ではないことに気づいた。看護制度については、まずアメリカの看護教育は日本に比べてレベルが高く、シミュレーションセンターを有する大学においては臨床と同じような設備環境があり、高度で専門的な知識・技術を学ぶことができるのはアメリカの強みである。また、アメリカの看護師は、臨床経験ののち修士課程や博士課程に進学する看護師が多いという状況から、専門分野に特化した看護師や特定の医療行為が可能な看護師が増加することにより質の高い医療の提供につながっていることがわかった。一方、日本はNPやCNSなどは増加傾向にありつつもアメリカのようには多くはないため、専門分野に特化した看護師や医師と同等に働けるような看護師はほぼいない。しかし、日本の看護師の良い点として、専門分野に特化せず患者の日常生活の世話や診療の補助など、患者の治療や生活を一貫して看護することで、個別性を重視したケアの提供や信頼関係の構築につながることが大きな利点であると気づくことができた。
二つ目の目標「英語レッスンを通して日常的な会話でキャッチボールができ、苦手とする英語で自分の言いたいことを表現できるようになること」についても達成できた。ゲームやペアでの活動を通して積極的に英語を話し、先生とのやりとりや最終日の研修の学びの発表もうまく行うことができた。
今後の課題は、様々な国の地域医療について学ぶことである。今回の研修では主に、アメリカの病院に勤める看護師の役割やはたらきを学ぶことができた。しかし、先進国では高齢化が進行しており、日本では、住み慣れた地域でその人らしく生活するというスローガンを掲げ、地域医療が中心となってきている。そこで、同じく先進国であるアメリカやその他の国の高齢化に伴う地域医療の取り組みなどを学び、日本との比較し相違点を学ぶこと自分が看護師としてよりよい地域医療に貢献できると考えた。
最後に、コロナウイルス感染が収束していない中で、様々な方の協力のもとオンラインでのアメリカ看護研修が開催され、参加できたことを嬉しく思う。プログラムに携わる様々な方が、研修期間中も学生の要望に応えてくださったり、トラブルがありながらもその都度丁寧に対応してくださったおかげで、充実した研修にすることができた。講義をしてくださった講師の方、旅行会社の方、先生方、ともに研修で学んだ3人の学生に感謝したい。
夏期オンライン・アメリカ看護研修に参加して
2年 山形 千春
今回の研修を振り返って、事前学習で学んだ医療・福祉制度、研修施設や日系人移住の歴史、看護制度の知識をさらに深めることができた。アメリカでの看護に対する姿勢について様々な立場の方々から話を聞くことができたが、その背景には分け隔てのない医療を提供するという信念があった。自身の看護に責任と誇りを持ち、看護の専門職者としての役割が明確になっているように感じられた。また他職種連携を大切にし、チームで何度も話し合い、連携できるように学生の頃から訓練を重ねている点も印象的であった。
事前学習では日本からみたアメリカという視点で情報を得たが、それと比較して現地の視点や生の声で情報を得ることができたことによって、より活発な意見が生まれ、質問時間が足りないほどであった。このことはより良い学びに繋がったと実感している。その為これから研修に行く方には事前学習によく取り組み、気後れせずに現地の方と意見交換をして現地の文化にふれることをおすすめしたく思う。